役員賠償保険で会社と家族を守るための7つの対策―金沢市の総合保険代理店UPDATE―
「役員賠償保険って聞いたことはあるけど、うちのような中小企業にも必要なんだろうか?」「万が一、取引先や従業員から訴えられたら、自分や家族の生活にまで影響が出るのでは…?」
そう思う方もいるかもしれません。
実は、経営に関する判断ミスや人事トラブルなどによって、役員個人が損害賠償を請求されるケースは年々増加しており、会社だけでなく役員本人やその家族の財産までもがリスクにさらされることがあります。
この記事では、役員賠償保険の基礎知識から、補償内容、実際に起こり得るリスク、保険料の会社負担や家族・相続への影響などを踏まえ、会社と家族の両方を守るために知っておきたい7つの対策をご紹介します。
役員賠償保険とは?中小企業にも必要な3つの理由
役員賠償保険って、大企業の話だと思っていませんか?実は、中小企業の経営者にも今や“必須”とも言える保険です。
・役員賠償保険の基本的な仕組み
・なぜ中小企業の社長にも必要なのか
・訴えられるのは「会社」ではなく「個人」の役員
「順番に見ていきましょう。」
役員賠償保険の基本的な仕組み
役員賠償保険(D&O保険)は、会社の役員や取締役が職務の中で何らかの判断ミスや過失をした際に、個人として損害賠償を請求されたときのための保険です。たとえば、経営判断の失敗によって取引先や株主に損害が出た場合、その責任が役員個人に問われることがあり、その際に補償されるのがこの保険です。補償内容には、賠償金はもちろん、弁護士費用や訴訟関連の費用も含まれます。
保険と聞くと「会社のことは会社が守ってくれる」と思いがちですが、実際には「個人」が訴えられるケースが増えており、それに備えるのがこの保険の役割です。
なぜ中小企業の社長にも必要なのか
これまで役員賠償保険は、大企業向けのものと考えられてきました。しかし最近では、中小企業でも経営者が責任を問われるケースが珍しくありません。特に労務問題や取引先とのトラブルが原因で訴訟に発展することがあり、裁判費用や賠償金は経営者個人に重くのしかかります。
中小企業では資本や余力が限られている分、こうした損失が経営そのものを揺るがすリスクにつながります。そのため、大企業以上にリスク分散の手段として、役員賠償保険の必要性が高いと言えるのです。
訴えられるのは「会社」ではなく「個人」の役員
意外に知られていないのが、訴訟リスクの対象が「法人」ではなく「役員個人」になり得るという点です。たとえば従業員からの不当解雇の訴えや、顧客との契約不履行による損害請求など、問題の責任を個人の役員に問う事例が増えています。
これは、経営の意思決定が個人に紐づいていると判断されるためで、訴訟の矛先が社長や取締役などの個人に向くのです。こうした個人責任に備えるためにも、役員賠償保険は中小企業にとっても大切な防衛手段といえます。
役員賠償保険が使える3つの場面とは
どんなときに役員賠償保険が本当に役に立つのか気になりますよね。実は、経営判断や人事の対応など、日常業務の中にもリスクは潜んでいます。
・経営判断ミスによる取引先からの請求
・従業員とのトラブル(解雇・ハラスメントなど)
・投資家や株主からの損害請求
「それぞれの事例を見ていきましょう。」
経営判断ミスによる取引先からの請求
企業経営において、仕入れや投資、新規事業などの意思決定はつきものです。しかし、その判断が結果として損失を生み出した場合、取引先から「役員の判断ミスによって損害を被った」として賠償を求められるケースがあります。
実際に、中小企業の社長が自社製品の供給を急に止めたことで取引先が損害を被り、社長個人に賠償請求が向けられた例もあります。こうしたとき、役員賠償保険に加入していれば、個人負担を軽減することができます。
従業員とのトラブル(解雇・ハラスメントなど)
労務管理において、近年はハラスメントや不当解雇を巡る訴訟が増えています。たとえば、社員の解雇理由に納得がいかないとして訴訟に発展した場合、その責任は経営判断を下した役員に問われることもあります。
また、職場環境への配慮不足やパワハラといった指摘が、会社ではなく個人に向けられることも珍しくありません。役員賠償保険は、こうした人事や労務に関する問題からも経営者を守ってくれます。
投資家や株主からの損害請求
特にスタートアップや外部資本が入っている企業では、経営戦略の誤りが投資家や株主からの訴えに繋がるリスクがあります。「期待した利益が得られなかった」「不正確な情報開示があった」といった理由で、取締役個人が訴えられることもあり得ます。
こうした損害請求が突如発生した際、事前に役員賠償保険に加入していれば、弁護士費用や対応コストを保険でカバーできるため、安心して経営に集中することができます。
保険料の相場と補償内容を知るための3つのポイント
保険に加入したいけど、どれくらいの費用がかかるのか不安ですよね。補償内容や会社の規模によって保険料は大きく変わることがあります。
・一般的な保険料の目安
・補償内容の範囲と除外されるケース
・保険料に影響する3つのポイント
「順番に見て、判断材料を整理していきましょう。」
一般的な保険料の目安
役員賠償保険の保険料は、年間で数十万円から数百万円と幅があります。これは企業の規模や売上、役員の人数、業種、そして希望する補償額によって変動します。たとえば、年間補償額を1億円に設定した場合と、5,000万円に設定した場合では、当然ながら保険料にも大きな差が生まれます。
中小企業であれば、年間20万円〜50万円程度の保険料で加入するケースが多く見られますが、これはあくまで一例です。実際には、リスクの高さや過去のトラブル履歴なども評価対象となります。
補償内容の範囲と除外されるケース
補償の対象になるのは、主に「役員個人が業務上の判断などで損害賠償を請求された場合」です。これには裁判費用、弁護士費用、賠償金などが含まれます。ただし、すべてのケースが補償対象になるわけではありません。
たとえば、明らかな故意や犯罪行為による損害、不正や横領などによるトラブルは補償の対象外です。また、過去に起きたトラブルが発覚した場合も、契約前の事案についてはカバーされないことがあります。加入前には、どこまで補償されるのか、除外項目は何かをしっかり確認することが大切です。
保険料に影響する3つのポイント
保険料がどう決まるかを知ることで、自社に合ったプラン選びがしやすくなります。主な影響要素は次の3つです。
1つ目は「企業の規模」。売上や資産が大きくなるほど、リスクも大きく見積もられるため、保険料も高くなる傾向にあります。
2つ目は「補償金額と補償範囲」。広範囲なリスクに備えたいほど保険料も上がります。
3つ目は「過去のトラブル歴」。過去に訴訟やクレームがあった企業はリスクが高いと判断され、保険料が上がることがあります。
これらのポイントを踏まえて、まずは保険代理店などにシミュレーションを依頼し、自社に合った補償内容を把握することが第一歩です。
実際にあった3つの訴訟事例から学ぶリスク
実際にどんなトラブルで役員が訴えられているのか気になりますよね。具体的な事例を知ることで、どのような備えが必要かが見えてきます。
・過労死による賠償請求を受けた例
・不当解雇で役員が訴えられたケース
・顧客とのトラブルで個人責任を問われた例
「実例から学べることは多くあります。」
過労死による賠償請求を受けた例
ある中小企業で、従業員が長時間労働の末に過労死し、遺族から企業と役員個人が訴えられた事例があります。労働時間の管理体制に不備があったとして、取締役に対して数千万円規模の損害賠償請求がなされたのです。
このケースでは、役員賠償保険によって裁判費用や一部の賠償金が補償され、個人の財産を守ることができました。企業全体のコンプライアンス体制だけでなく、役員個人への責任も問われる時代であることを象徴する事例です。
不当解雇で役員が訴えられたケース
別の事例では、従業員をパフォーマンス不良を理由に解雇したところ、本人が「不当解雇」だと主張し訴訟に発展しました。問題となったのは、解雇までの手続きの不備と、十分な警告や是正措置が取られていなかったことです。
ここでも訴訟の対象となったのは会社だけでなく、解雇を決定した取締役でした。最終的に裁判で和解に至りましたが、弁護士費用や精神的負担は大きく、保険がなければさらに深刻な事態となっていたでしょう。
顧客とのトラブルで個人責任を問われた例
BtoBの取引において、ある中小企業が納品を遅延させたことで顧客企業に損害が発生し、取締役が個人として損害賠償請求を受けたケースがあります。顧客は「納期遅れは経営判断ミスによるもの」として、社長を名指しで訴えました。
こうした契約トラブルにおいても、業務上の判断が問われると、個人の責任として追及される可能性があります。訴訟リスクは想像以上に身近にあるということが、この事例からよくわかります。
会社が保険料を負担するメリットと注意点【3つの視点】
役員賠償保険の保険料は誰が払うべきか、悩みますよね。会社が負担するのが一般的ですが、そこにはメリットも注意点もあります。
・会社負担と個人負担の違い
・会社で支払うメリットとリスク
・税務上の扱いと注意点
「順を追って確認していきましょう。」
会社負担と個人負担の違い
役員賠償保険の保険料を「会社が払う」か「個人で払う」かによって、契約の形や効果に違いがあります。多くの企業では、役員に関わるリスクを会社全体でカバーするという考えから、法人名義で加入し、保険料も会社が負担しています。
一方で、個人が任意で加入する場合、会社からのサポートがないため、内容の把握や契約の維持などをすべて自己責任で行う必要があります。中小企業ではコスト面から個人負担を選ぶケースもありますが、リスクを考えれば会社負担の方が現実的といえます。
会社で支払うメリットとリスク
会社が保険料を負担することで、経営陣全体のリスクマネジメント意識が高まります。たとえば、ある役員が業務上の責任を問われた際にも、保険によって訴訟対応がスムーズになり、業務への影響を最小限に抑えることができます。
また、会社全体で「役員を守る姿勢」が明示されることで、優秀な人材を役員として迎えやすくなるという副次的な効果もあります。ただし、社内での透明性や保険の内容共有が不十分だと、「保険に甘えて責任が軽くなる」といった誤解を招くこともあるため、周知と信頼の構築が重要です。
税務上の扱いと注意点
役員賠償保険の保険料を会社が支払う場合、原則として「損金処理」が可能ですが、補償の範囲や契約内容によっては税務上の取り扱いに注意が必要です。たとえば、特定の役員だけを対象とした保険では「役員賞与」と見なされるリスクもあります。
また、保険金が役員個人に直接支払われるような契約だと、課税対象となることもあるため、契約前に税理士など専門家と相談し、税務上の整理を行っておくことが安心です。
家族や相続への影響に備える3つの考え方
もし自分が訴えられたら、家族にどんな影響があるのか不安ですよね。実は、経営者が責任を問われることで家族や相続にも深刻な問題が及ぶことがあります。
・役員が訴えられたときの家族への影響
・財産を守るために知っておきたいこと
・相続時にトラブルを避ける準備とは
「家族を守るためにも、今できる備えを確認しましょう。」
役員が訴えられたときの家族への影響
経営者個人が訴訟に巻き込まれると、その影響は家族にも直結します。たとえば、損害賠償が確定した場合、個人資産が差し押さえられることになり、生活に使っていた自宅や預貯金が対象になることもあります。
また、精神的なプレッシャーも大きく、長期にわたる裁判対応やメディア報道によって、家族の生活や社会的信用に影響を及ぼすリスクも否定できません。役員賠償保険は、そうした「もしも」に備える家族の守りでもあります。
財産を守るために知っておきたいこと
個人責任による損害賠償は、経営者の財産そのものにダイレクトに影響します。特に、会社と個人の資産管理が分かれていない場合は注意が必要です。個人名義の財産が差し押さえられると、家計や老後資金に大きなダメージを与える可能性があります。
財産を守るためには、まず役員賠償保険に加入し、賠償リスクを分散させること。そして、会社と個人の資産を明確に分けて管理することで、トラブルが起きたときの被害を最小限に抑えることができます。
相続時にトラブルを避ける準備とは
役員が亡くなった場合、その人に対して未解決の訴訟や損害賠償請求があると、相続人にその責任が及ぶ可能性があります。たとえば、「損害賠償の支払い義務」も相続対象になることがあるのです。
このような状況を避けるには、生前に役員賠償保険でリスクヘッジしておくことが有効です。また、相続の際に問題が起きないように、遺言書の作成や相続税対策を専門家と一緒に進めておくことも大切です。
保険を選ぶ前に押さえておきたい3つのチェックポイント
保険の種類が多すぎて、どれを選べばいいかわからない…そんな悩みはありませんか?選び方を間違えると、いざというときに十分な補償が受けられないリスクもあります。
・保険会社ごとの違いをチェック
・自社のリスクに合った補償内容とは
・保険の専門家に相談するメリット
「ポイントを押さえて、後悔のない選択をしましょう。」
保険会社ごとの違いをチェック
役員賠償保険は、多くの保険会社が取り扱っていますが、その内容は一律ではありません。同じ「1億円補償」でも、訴訟費用込みかどうか、対象となるリスクの範囲、支払いの条件など、細かな違いがあります。
例えば、ある保険会社では「情報漏えいによる損害」も補償対象に含まれている一方、別の会社ではオプション契約になっていることもあります。資料を取り寄せる、複数社の比較表を作るなどして、細部まで確認しましょう。
自社のリスクに合った補償内容とは
業種や事業形態によって、必要な補償内容は異なります。たとえば、顧客との契約が多いBtoB企業なら契約不履行に対する補償を厚くする必要がありますし、労務トラブルが起きやすい業種では、ハラスメントや不当解雇に関する補償を重視すべきです。
「何をどこまで補償しておきたいのか」という視点で、自社のリスクを洗い出す作業が欠かせません。見当違いな補償ばかり手厚くしても、いざという時に役に立たない可能性があります。
保険の専門家に相談するメリット
自社の状況に合った保険を選ぶには、保険のプロに相談するのが最も確実です。とくに中小企業では、営業担当が必要な情報を整理してくれたり、リスク診断を無料で行ってくれる保険代理店もあります。
また、契約後のトラブル対応や保険金請求時のサポートも期待できるため、「売って終わり」ではないパートナー選びが重要です。信頼できる担当者に出会えるかどうかが、保険選び成功の鍵になります。
よくある3つの疑問とその答え(Q&A)
役員賠償保険って本当に必要なの?と感じる人も多いのではないでしょうか。この記事を読めば、よくある疑問に明確な答えが見つかります。
・中小企業でも加入すべき?
・役員全員が対象になるの?
・他の保険とどう違うの?
「最後に気になる疑問を一緒に確認しましょう。」
中小企業でも加入すべき?
答えは「はい」です。訴訟リスクは企業の規模に関係なく存在します。むしろ中小企業の方が、ひとたび役員が訴えられると資金的・人的余裕がなく、経営に直結するダメージを受けることが多いのです。
役員賠償保険は、そうした経営リスクを事前に緩和し、万が一の際に役員やその家族を守るための手段です。近年では中小企業向けの手頃なプランも増えており、導入のハードルも下がってきています。
役員全員が対象になるの?
契約内容によりますが、多くの場合「全役員を一括で補償する」形で契約するのが一般的です。取締役、代表取締役、監査役などの法的な役職だけでなく、相談役や執行役員が対象になるケースもあります。
ただし、補償対象者が明確に定義されているかどうかは契約書によって異なります。事前に「誰が補償されるのか」を確認しておくことで、後からのトラブルを防ぐことができます。
他の保険とどう違うの?
企業が加入する一般的な保険(例えば賠償責任保険や業務災害保険など)は、「会社」を守るためのものです。一方、役員賠償保険は「個人としての役員」を守るための保険です。
つまり、経営判断の結果として損害が出たとき、その責任が役員個人に及ぶ場合にのみ機能するという点で、大きく異なります。他の保険と併用することで、会社と個人の両方を守る安心体制が整うのです。
まとめ
本記事では、「役員賠償保険」が中小企業の経営者にも必要とされる理由や、具体的な活用場面、保険料の目安、補償内容、実際の訴訟事例などを通して、その重要性を解説しました。
経営判断ミスや労務トラブル、契約不履行など、役員個人が損害賠償を請求されるリスクは年々高まっています。特に中小企業においては、ひとたび訴訟が起きれば、経営だけでなく家族や財産にも重大な影響が及ぶ可能性があります。
保険料は会社が負担するのが一般的で、税務処理や補償範囲のチェックなど、導入にあたっての注意点も複数あります。また、選ぶべき補償内容は企業ごとのリスクによって異なるため、専門家に相談しながら慎重に選ぶことが大切です。
役員賠償保険は「会社」だけでなく「経営者自身」と「家族」を守るための備えです。後悔する前に、自社のリスクと向き合い、万一に備えて適切な準備を進めておきましょう。